Home ファッション #SuzyPFW: 融合と自発という名の魔法。

#SuzyPFW: 融合と自発という名の魔法。

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ドリス ヴァン ノッテンのクレイジーなほどワンダフルなコレクション、そしてメゾン マルジェラにおけるカオス理論の実践。

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクションは圧倒的で、画家が手がけたような色彩、模様、シルエット、テクスチャーの集大成だった。Photo: INDIGITAL.TV

芸術家のドリス

鮮やかな色彩を大胆にミックスし、職人技とハイテクとを魅力的に融合させることで、ドリス・ヴァン・ノッテンは不可能を可能にする夢を実現した。彼は複雑に絡まり合ったアイデア (パリの街路を吹き抜けるシベリアからの風のようにワイルドに見えた) を形にし、ひとつのファッションショーを模様と色彩とに満ちた詩的な展覧会へと仕立て上げた。

ドリス ヴァン ノッテンの青い素材。Photo by Instagram/@suzymenkesvogue/ Suzy Menkes

ディープパープルが1970年にリリースしたロックの名曲「チャイルド・イン・タイム」が、金メッキのシャンデリアが振動するほどの大音量で鳴っていた。そうした中、ベルギー出身のドリス・ヴァン・ノッテンがランウェイに送り出したのは、あらゆる意味で説得力があり、あらゆる季節に重宝しそうな服の数々だった。驚くような色と色、信じられないような素材と素材が絶妙に組み合わせてあった。手の込んだ仕事とクレイジーなテクスチャーが生み出したのは、シンプルなドレスにブローチとして留められた羽毛のように軽く見えるコレクションだった。

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

色のみに注目してみても、ドリスが「万年筆ブルー」と呼ぶ青、錆色の混じるサンシャインイエロー、そしてコケのようなグリーンなど、取り合わせが普通ではない。しかし服自体も上品ではあるものの、色に負けないほどに風変わりなのだ。「なんでもかんでも取り入れ」という表現は通常では悪い意味で使うものだ。しかしこのショーでは、ハイテクなスポーツギアと緻密なハンドクラフトの融合が劇的な効果を生んでおり、素晴らしいコレクションへと昇華していた。

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

「私にとってこれは、自発的なものに基づいています。助言を求めることはせず、ただやりたいことをやりました。自問自答してみたのです。『音楽がうるさすぎたり、激しすぎたりしたら、観客はなんと言うだろう』と。しかしフルトラックを大音量でどうしても掛けたかったのです。1970年代にそうしていたように」

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV
ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

ショーの解説の中で彼は、楽しげ、ナチュラル、表現力に富んだ、情熱的、遊び心に満ちた、など、自分の作品を形容する言葉をいくつか挙げている。これはほんの一部で、言葉の羅列はまだ続いていた。普通、ファッションデザイナーが多様な情報源からアイデアを取り入れる時、作り出そうとしているのは不協和音だ。しかしドリスは逆のことをした。ほとばしり出る色彩や形態を融合させて、まとまりをもったコレクションに仕立てたのだ。ファッション的な企てとして大成功を収めたといえる。

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

ファーストルックはグレー地に民族調のブランケットを思わせるパターンが描かれたコートだった。彼は若い頃、放浪生活を送っていたそうだが、その時代に回帰したのだろうか。 いや、そうではないようだ。というのは、キャットウォークに次に現れたコートはブラックだったからだ。ポール・ポワレを彷彿させる1930年代風のラウンドショルダーのコートで、シルバーの繊細な花がほっそりとした茎を伴った模様として入っている。そして対照的な服が次々に登場してきた。柔らかなペザントブラウス、洗練されたモールブラウンのフェイクファーコートにモスグリーンがわずかに入ったものなどだ。服に使われているグリーンやイエローといった色調の違いをさまざまな言葉で説明している時に、急にスカイブルーが登場したりすると、色というものが非常に詩的に感じられてくる。ランウェイで生き生きと躍動する色はより詩的だった。

ドリス ヴァン ノッテン2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

ドリスは大手のファッショングループに属したことがない。独立したデザイナーとして、アントワープで自身の道を追究している。今回のコレクションは波に乗り絶好調だったようだ。その手法は無鉄砲ではあるものの、結果、驚くほど優美なコレクションを生み出した。

あらゆるところにマルジェラが

パリでは2つのマルタン・マルジェラにまつわる展覧会が開催されていた。ひとつはグラン・パレを会場とするもので、当初はアントワープで開催されていたもので、マルタン・マルジェラのエルメス時代がテーマとなっている。もうひとつはパレ・ガリエラ美術館を会場とするもので、ベルギー出身のマルタン・マルジェラが2009年に引退・隠棲するまでのキャリアを辿っている。

メゾン マルジェラ2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

マルタン・マルジェラにはかくも重い歴史がつきまとうので、メゾン マルジェラのクリエイティブディレクターを現在務めているジョン・ガリアーノが他の方向性を追求したくなったとしても、別に不思議なことではない。実際、彼は複数の方向性を視野に入れているようだ。まず最初に出てきたのは、「守る」というコンセプトだ。モデルが羽毛布団のように膨らんだ服を着込んだり、脇に抱えたりして歩いてくる。次は1月の2018年春夏オートクチュールコレクションで使ったコンセプトのひとつ、「プラスチックをファンタスティックに見せる」(しかし地球にどんな悪影響を及ぼすのか、定かではない)を発展させることだ。そこにはホログラムを用いて透明な素材を虹色に光らせる試みもあった。パープル、グリーン、イエローに光るバッグもあったが、不気味な美意識だとは思った。夕暮れの海から浚い上げてきたような色なのだ。

メゾン マルジェラ2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV
メゾン マルジェラ2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

ガリアーノのスタイルは「タフ・ロマンチック」という言葉で語れるかもしれない。宇宙旅行に着ていくような未来的な服にシャープな輪郭を与えたという意味だ。プラスチック製のマルチカラーで四角形のパーツがトップスやスカートの外側に付いているが、内側のテカテカしたビニールと競い合って見える。ワイドストラップの付いたテクノ調のスニーカーがそこに加えられ、終末論的な世界観をさらに強めている。

メゾン マルジェラ2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV

服を廃棄物のように扱い無頓着に着る風に装いながら、実は内側に喜びを秘めているといった遊び方は、ガリアーノがかなり前から得意としていたものだ。当時のガリアーノは廃棄物や再利用素材を使い、自身のブランドやディオールのためにデザインしていた。それを考えると、彼は創業者のマルタン・マルジェラと大変に相性が良いはずだ。マルジェラはファッション界でリサイクルに手を染めた初の大物デザイナーなのだから。

あのプラスチックの幻想が帰ってきた。ジョン・ガリアーノがメゾン マルジェラのためにデザインした。見る前にサングラスを掛けて…

Photo by Instagram/@suzymenkesvogue/ Suzy Menkes

しかし実際問題としてメゾン マルジェラは今どこに向かおうとしているのだろうか。ナイロン素材や虹色のホログラム、ビスコース繊維のフリンジ、反射性素材、こうしたものはすべて地球の環境に悪影響を及ぼすのではないか。ガリアーノの巧みな手腕に掛かればそうではないのかもしれない。確かにショーの服は、少なくとも最初に登場した鮮やかなブルーの腫れぼったいダウンジャケットに関しては、現代風のドレスとしてきちんと通用しそうに見えた。これらの服のプレゼンテーション方法を見ると、ガリアーノが見る者を怖がらせようとしていたのは明らかだった。本当に震え上がらせようとしていたのだ。しかし彼のメッセージでは、誰を、何を、なぜ怖がるべきなのかということが曖昧なままだった。

メゾン マルジェラ2018-19年秋冬コレクション。Photo: INDIGITAL.TV
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